マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)試験を受けてみた
合格体験記的なもの
要約
- MOS試験とは:マイクロソフトオフィスの各ソフトをどれくらい扱えるかを測る試験
- オフィスに慣れている人なら、学習にかかる労力は少なく済むはず
- 勉強にはWindowsのPCが必要
- 受験するなら随時試験方式がおすすめ
はじめに
先日マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)の試験を受け、無事合格することができました。この記事は、その合格体験記的なものです。この内容が全員に当てはまる保証は全くありませんが、受験を考えている人の参考になれば幸いです。
MOSとは
マイクロソフト オフィス スペシャリスト(以降MOS)とは、「エクセルやワードなどのマイクロソフト オフィス製品の利用スキルを証明できる資格(引用元:MOS公式サイト)」です。MOS試験では、用意されたファイルに対して既定の操作を行うよう求められます。
操作の正答率が基準(公表されていないですが、おそらく7割)に達していれば資格をもらえます。試験が終了すると自動で採点が行われ、その場で点数と合否がわかります。合格証明書は、PDFファイルとしてオンラインで発行できます。
試験科目
試験科目にはWord・Excel・PowerPoint・Access・Outlookがあります(詳細はMOS公式サイト)。とくにWordとExcelには一般レベル(アソシエイト)と上級レベル(エキスパート)の2つがあり、それぞれ独立した試験として実施されています。
自分は(1)Word一般(2)Word上級(3)Excel一般(4)Excel上級(5)PowerPoint、を受験しました。なお、いくつかの科目で合格すると称号が手に入ります。たとえば、自分が受験した5科目全てで合格すると、MOS Expertという称号を得られます(詳細はMOS公式サイト)。
受験のきっかけ
家族からMOSの存在を教えてもらい、単純に「MOS面白そうじゃん。気分転換にもなりそうだし」と思いました(小学生の作文並みの感想)。Microsoft Officeは普段なんやかんやで使っているので、復習という意味でも受験してみることにしました。
また、下に書いてあるように、試験対策のコストがかなり低いと思ったことも受験のきっかけの1つです。
試験対策
模擬試験が優秀すぎ。くり返し解くだけで対策できました
試験対策のためにFOM出版の「MOS 365&2019対策テキスト&問題集」シリーズを買いました。1冊2300円〜3400円くらいです。それぞれ「講義編」(正式名称は違うんですが、とにかく講義編みたいなもの)と「模擬試験(5回分:採点機能付きの専用ソフトあり)」から構成されています。模擬試験のソフトは、出版社のサイトからダウンロードすることができます。
WordやExcelはふだんなんとなく使えてしまっているので「試験のために本なんて買わなきゃいけないの?」と思う人もいるかもしれません。ですが、これを買って模擬試験を解いておかないと、間違いなく試験本番で詰みます。というのも、MOSの出題形式や回答方法が独特なので、それに慣れておかないとかなり苦戦することになるからです。
逆に、模擬試験を何周か解いておけば、かなりの確率で合格ライン以上の点数を取れると思います(もちろん保証はできませんが)。模擬試験5回分で、出題パターンがほぼカバーされているように思いました。実際、試験本番中に「解き方が全くもってわからん」という状況になることはありませんでした。
対策本の使用感
自分が初めて模擬試験を解いたときはかなり難しいと感じました。どの科目も最初は5、6割くらいしか点が取れず、Excelの上級レベルにいたっては5割も取れませんでした。ただ、1周する頃にはどの科目も8割位は取れるようになっていました。2周目以降は安定して9割取れるようになりました。3周目以降は、ひたすら練度を上げていくため(満点を取るため)の鍛錬というイメージでした。
1回の試験が50分なので、半日もあれば模擬試験5回を1周させることができます。試験対策としては、かなり労力が少なく済む部類に入ると思います。
なお『対策テキスト&問題集』シリーズの講義編(みたいなもの)にも練習問題はあります。しかし、模擬試験とは異なり、これには採点機能が付いていません。自分の場合、講義編は2回くらいパラパラ読むだけでした。
WindowsのPCが必要
模擬試験のソフトはWindowsでしか動きません。ふだんMacを使っている人は別途WindowsのPCを用意しないといけません。これは結構盲点(?)かもしれません。
受験方法
詳しくは公式サイトを見てください。ここでは要点を絞って注意点を説明します。
随時試験がおすすめ
試験には「全国一斉試験」と「随時試験」の2つの方式があります。結論から言うと、随時試験のほうがおすすめです。
全国一斉試験は月に1回開催されます。受験予約は1ヶ月前までに済ませないといけません。また、試験の10日前頃に受験票が送られてくるまでは、試験会場がどこになるかはわかりません。
いっぽう随時試験は「受験希望者が好きな試験会場の席を予約し、その予約に応じて試験が開催される」というシステムです。全国各地のPC教室などが試験会場になっている印象です。予約はだいたい1週間前までに済ませておけばOKです。試験会場のスケジュールにもよりますが、全国一斉試験よりは圧倒的に日程の融通が利きます。
全国一斉試験と随時試験で出題される内容は変わらないですし、受験料も変わらないので、随時試験のほうが圧倒的におすすめです。
1日1科目にしておかないと詰む(はず)
複数の科目を1日の間に受験できますが、これはおすすめしません。というのも、本番では1科目解くだけでもかなりの認知資源を消費するからです。
きちんと対策できていれば試験はそこまで難しくないのですが、最後はいかに読み落としやケアレスミスをしなくなるかというレベルになってきます。万全のコンディションで受験したい、もしくは満点を取りたいという場合は、1日1科目にとどめておくのが賢明です。また、同じ日に複数科目を受験するとなると、当然試験直前のコンディショニングが大変になると思います。
そういうわけで、各科目の受験は少なくとも数日おきにしておくのが良いと思います。自分の場合は、1〜2週間おきに1科目ずつ受験し、約1ヶ月で5科目すべて合格できました。
試験本番での解き方(これは好みが分かれるところ)
模擬試験に取り組むとわかりますが、問題を全て解き終わるとこれまでの問題を再確認できるページ(レビューページ)が表示されます。レビューページを使うと、回答を確定させる(試験終了)前に見直しをすることができます。
ただ、全部で30問くらいあるので、最後にまた一から見直しをするというのはかなりめんどくさいです。自分の場合は、1発で問題を解き切る(問題を解いて、すぐに入念にチェックをする)ようにし、最後の見直しはしませんでした。これは人によってやり方が分かれるところだとは思います。
各科目の難しさ
各科目の受験順に感想を書いておきます。
Word一般
9割以上は何の苦もなく解けました。ただ、他の科目でも同様でしたが、細かいところで「あれ、この問題って本当にこの解き方でいいのかな」というのが1、2問出題されました。
Word一般は、20分くらいで回答し終わったと記憶しています。なので、きちんと対策できていれば、かなり時間に余裕があります。わからない問題にしっかり時間をかければ問題ありません。
Excel一般
Word一般と同じような感想です。これも20〜30分かかったと記憶しています。ちなみに、Excel一般でもセルの絶対参照・相対参照が出題されます。参照方法でミスらないように注意していると、一般レベルでもかなり神経がすり減ります。そういう意味では、Word上級より疲れるかもしれません。
Word上級
これは30分くらいかかったと記憶しています。Word一般よりは少し時間がかかりましたが、難しさはWord一般と同じくらいだと思いました。
Excel上級
これが一番ハードでした。そもそも、Excel一般より多くの関数を覚えないといけないので対策に少し時間がかかります。
本番で難しいと感じることはありませんでしたが、細かい点でミスらないように気をつけるとめちゃくちゃ時間がかかります。実際、試験時間50分のうち45分かかりました。30分くらいだと全く焦らないのですが、さすがに残り時間が10分を切り出すとさすがに焦りました。
自分は模擬試験をノンストップ(20〜25分くらい)で解けるようになりましたが、本番では45分かかりました。Excel上級では、模擬試験の練度をかなり上げておくのが大事だと思います。
PowerPoint
PowerPointは、Word一般と同じくらいのレベルだと思います。試験慣れのために最初に受験するのがおすすめかもしれません(自分の場合は、たまたま最後に受験することになりました)。
受験時の注意点
ヘルプを使う
オフィスの「ヘルプ」は試験中でも使えます。試験中にわからないこと、思い出せないことがあればとりあえずヘルプで検索してみることをおすすめします。
事前のコンディショニングが大事
きちんと対策ができていれば、9割以上の問題は難なく解けるようになっています。最後は読み落としをしない、ケアレスミスを減らす、初見の問題や少しつっかかる問題に時間をかける、というレベルになってきます。試験の内容自体が割と簡単なだけに、ケアレスミスの少なさが相対的に重要になります。
なので、試験当日はなるべく万全のコンディションで挑むのが大事です。自分の場合は、よく寝てよく食べて、試験の30分前までにモンスターを1本飲んでから受験するようにしました。
メリットとデメリット
MOS試験のメリット・デメリットを列挙します。
メリット
- 一応資格が手に入る
- 勉強時間が他の資格より少なくて済む(たぶん)
- オフィスの操作内容をなんだかんだでおさらいできる。自分は研究中になんやかんやでオフィスを使うので、いい復習の機会になった
デメリット(?)
- 上で「資格が手に入る」とは書いたが、それがどれくらい評価されるかは不明。結局、資格取得のコストが大きいほど評価されやすいということだと思う(例:司法試験、医師免許)
- 当然だが、お金がかかる(受験料と書籍代を合わせると、1科目10000〜15000円が必要)。ただ、TOEFLが3万なのを考えると、だいぶ安いとは思う。WindowsのPCを持ってない人はPC代の出費もかかる
- 出題される操作内容がどれくらい実践的かは疑問。たとえば、PowerPointで「図形の効果」やアニメーションを実際に使いまくったら、見られたものではなくなるはず。機能は把握した上で、どれを本当に使うべきかを見極めるのが大事。試験と実践はあくまで別物
おわりに
総じて良い気分転換になりました。それなりにオフィスに慣れている人なら、割と簡単に合格できると思います。